お灸をすえると、体内を流れる血液像が変化します。血液の役目は、呼吸から得られる酸素や食事からとれる栄養などを体内に巡らせ、新陳代謝を増大させることにより強い体を作ります。新陳代謝が良くないと、せっかく取り入れた酸素や栄養も十分に役立たなく排泄され、内分泌の正常化の妨げになり肌荒れや肥満の原因になります。

物理刺激が血液に作用するとは少し不思議ですね。

お灸は皮膚を治療です。一見、野蛮なようですが体内では緻密作用と変化をもたらし人の体の恒常性維持に役立てられます。

例えば、お灸をすると皮膚の感覚受容器が反応し求心性の末梢神経を刺激が走り、脳の視床下部に伝わります。視床下部は体の免疫やホルモン、自律神経のおおもとです。この視床下部に入る信号の変化でホメオスタシスを維持します。すなわち、体を強く丈夫にするのです。

自然治癒力とは、私たちの体へ、皮膚の小さな傷とか、口や鼻などから細菌が侵入したりして病気になるとし ます、最初は病気の力が強く病気のなすがままですが、次第に私たちの体が病気の力を上回り病気を克服します。 この克服する力が自然治癒力です。自然治癒力には色々あって代謝機能、止血作用、再生機能、免疫作用、解毒作 用、吐瀉作用などがあります。代謝作用とは臓器や血管とかで、いずれかが冒されると他の一方がよけいに働いて 欠損を補ったりする作用です。例えば、血管の場合、一つの枝が塞がれると他の枝から流通して補うといった働き を言います。止血作用とは指先を突いたり、切ったりした際に傷が大きければ出血はなかなか止まりませんが、小 さな傷なら別に手当しなくても自然に血は凝固して止まり治ってしまう作用です。また、神経が切れたり、皮膚が 剥離した際に外科手術によって縫い合わせた傷も、もし再生機能作用がなかったら、縫い合わせられるだけで決し て癒着せず組織はそのまま死んでしまいます。自然治癒力は、このように有効な力ではありますが所詮限度がある ので、この力に灸治療が加われば益々自然治癒力を助長させ強調する働きがあると言う事です。

どんなに軽いお灸でも、体に熱を入れると当然ながら軽い軽い一種の火傷をおこします。この現象が大変重要で、熱刺激によりそこを形造るタンパク質が分解します。そして、分解する事により生まれる一種の毒素物質（ヒストトキシン）が血流に入り全身の器官組織を刺激し、身体の免疫活性を上げているのです。すなわち、日々灸をすえるのは強い体を作ることに役立つのです。

灸をする事により、副腎、脾臓、甲状腺、膵臓、脳下垂体、睾丸、卵巣等に自律神経を介して非常に好 影響を与えます。その結果、必要なホルモンは増量され、不必要なホルモンは減少し、身体活動に必要なホルモン の調整を過不足無く行う事ができるという事です。例えば、副腎皮質ホルモンの強い消炎効果がある事を利用して ステロイド剤が多くの皮膚炎、リウマチ、気管支喘息など炎症性疾患に使われていますが、灸をすえ続けると血液 中の副腎皮質ホルモンの量が増え、体のあらゆる組織の炎症を修復しますのでそのような疾患が回復してゆくメカニズムです。